空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチのターゲット

はじめに

空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチのターゲットについてまとめました。

目次

ヒンデンブルグ・リサーチとは

ヒンデンブルグ・リサーチ（Hindenburg Research）は、主に企業の不正行為や財務上の不透明な取引を調査し、レポートを発表する調査会社です。2017年に設立され、特に空売り（ショートセリング）を行う投資家に向けたリサーチを提供していることで知られています。企業の財務状況やビジネス慣行に疑問を呈し、違法や不正とされる行為を暴露することで、株価の下落を狙って利益を得る戦略をとっています。

ヒンデンブルグ・リサーチは、これまでに多くの企業をターゲットにしており、その調査レポートはしばしば市場に大きな影響を与え、株価の急落を引き起こすことがあります。有名なケースには、電気自動車メーカーのニコラ（Nikola）や、インドの大企業アダニ・グループに対する調査が含まれます。

これまでの実績

ヒンデンブルグ・リサーチ（Hindenburg Research）は、これまで多くの企業をターゲットにしたショートレポートを公開しており、そのいくつかは大きな市場の反応を引き起こしています。以下に、代表的な実績を年月、ターゲット名、そして影響や得られた利益に関する情報を挙げます。

1. ニコラ・モーターズ（Nikola Motors）

• 年月: 2020年9月
• ターゲット: 電気自動車（EV）メーカーのニコラ
• 内容: ヒンデンブルグは、ニコラが技術や製品について虚偽の情報を提供していたと指摘。特に、同社が「ニコラ・ワン」というトラックの動作を誇張したプロモーションビデオを公開し、実際には動力がない状態だったと報告しました。また、同社創業者のトレバー・ミルトンが誤った発言を繰り返していたとも主張。
• 結果: ニコラの株価は報告後急落し、同社創業者のミルトンは辞任。ニコラは一時的に時価総額を大幅に失い、ヒンデンブルグがショートポジションで得た利益は大きかったとされますが、具体的な金額は公開されていません。
• 影響: 報告直後、ニコラの株価は1日で約10%下落。その後も下落が続き、ミルトンは詐欺罪で起訴される事態に発展。

2. アダニ・グループ（Adani Group）

• 年月: 2023年1月
• ターゲット: インド最大の財閥アダニ・グループ
• 内容: ヒンデンブルグは、アダニ・グループが株価操作や会計詐欺を行っていると指摘し、企業の複雑な株式所有構造や関連当事者取引の透明性に疑問を投げかけました。
• 結果: アダニ・グループの株価は報告後急落し、同グループの総資産は1週間で1,000億ドル以上失われました。この報告は、インド経済全体にも大きな影響を与え、同国の市場全体が揺れる結果に。
• 影響: アダニ・グループの株価は報告後、短期間で最大約30%下落。アダニ・グループの会長、ガウタム・アダニの個人資産も大幅に減少。

3. ウォルトン・ウェストン（Waltton Weston）

• 年月: 2021年10月
• ターゲット: 電子製品やスマートフォン部品の製造企業
• 内容: ヒンデンブルグは、ウォルトンが報告している収益や顧客のデータに不正があると主張し、同社の売上を虚偽に報告していると指摘。
• 結果: 報告後、ウォルトン・ウェストンの株価は大幅に下落。ヒンデンブルグは報告前に空売りを行っており、利益を得たとされています。
• 影響: 株価は約20%下落。

4. ロードタウン・モーターズ（Lordstown Motors）

• 年月: 2021年3月
• ターゲット: EVスタートアップ、ロードタウン・モーターズ
• 内容: ヒンデンブルグは、同社が顧客の受注台数について誤った情報を提供しているとし、実際には販売の見込みがないと指摘。
• 結果: レポート発表後、ロードタウンの株価は急落。同社は調査を受け、その後の生産計画に遅延が生じました。
• 影響: 株価は1週間で約16%下落し、CEOとCFOが辞任。ヒンデンブルグはショートポジションで利益を得たと考えられています。

5. スーパー・マイクロ・コンピューター（Super Micro Computer）

• 年月: 2024年8月
• ターゲット: サーバーメーカーのスーパー・マイクロ・コンピューター
• 内容: ヒンデンブルグは、会計上の不正や関連者取引、制裁違反の疑いを指摘し、これが将来的に大きなリスクになると主張。
• 結果: レポート発表後、同社の株価は一時8.7%下落。年初からは上昇していたものの、大きな調整を受けました。
• 影響: 株価はレポート直後に急落し、市場への影響が注目されています。

ヒンデンブルグ・リサーチは、これらのレポートを通じて、ターゲット企業の株価に大きな変動を引き起こし、空売りポジションで大きな利益を得てきました。しかし、具体的な利益額は非公開の場合が多く、推定されるだけのケースもあります。

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