レバレッジ型(ブル型)投資信託は、右肩上がり相場では大きな利益を狙える一方、日次リセット方式によるパス依存性やボラティリティ・ドラッグが長期投資リスクを高める特徴があります。このサイトではレバレッジ運用の仕組みと注意点をわかりやすく解説し、初心者でも理解できる基準価格の推移シミュレーションを掲載しています。
ブルベア型の投資信託(レバレッジ型・インバース型など)を長期保有すると価格が下がりやすくなる現象は、金融用語では一般に 「ボラティリティ・ドラッグ(volatility drag)」 と呼ばれます。
元本100円で日々の値動きが以下の場合を考えます:
元本は100円より減っています。これがボラティリティ・ドラッグの典型例です。
まとめると、長期保有すると価格が下がる現象は 「ボラティリティ・ドラッグ(volatility drag)」 と呼ばれます。
例として、初期基準価格が10,000円の投資信託を想定し、1%下落→翌日1%上昇→翌々日1%下落…を繰り返した場合の10日間の基準価格推移です。
| 日数 | 変動率 | 基準価格(円) |
|---|---|---|
| 0 | - | 10,000 |
| 1 | -1% | 9,900 |
| 2 | +1% | 9,999 |
| 3 | -1% | 9,899.01 |
| 4 | +1% | 9,998.00 |
| 5 | -1% | 9,898.02 |
| 6 | +1% | 9,997.00 |
| 7 | -1% | 9,897.03 |
| 8 | +1% | 9,996.00 |
| 9 | -1% | 9,896.04 |
| 10 | +1% | 9,995.00 |
この表からわかるように、基準価格は日々±1%で動いても、10日間経過すると初期の10,000円よりわずかに下がっています。 これはボラティリティ・ドラッグ(volatility drag)の典型例です。 上下の変動が交互に続くと、元の水準に戻っても基準価格は下がる傾向があり、特にブルベア型のレバレッジ投信では長期保有で元本割れリスクが高まります。
初期基準価格が10,000円の株を想定し、1日目:1%下落、翌日:1.1%上昇、翌々日:1%下落…を繰り返す場合の10日間の基準価格推移です。
| 日数 | 変動率 | 基準価格(円) |
|---|---|---|
| 0 | - | 10,000.00 |
| 1 | -1% | 9,900.00 |
| 2 | +1.1% | 10,008.90 |
| 3 | -1% | 9,908.81 |
| 4 | +1.1% | 10,018.80 |
| 5 | -1% | 9,918.61 |
| 6 | +1.1% | 10,029.70 |
| 7 | -1% | 9,929.41 |
| 8 | +1.1% | 10,041.64 |
| 9 | -1% | 9,941.22 |
| 10 | +1.1% | 10,054.57 |
この例では、毎日の下落(-1%)と上昇(+1.1%)を繰り返すことで、基準価格は徐々に右肩上がりになっています。 これは、株式市場が長期的には成長する傾向にあることを反映しています。 ボラティリティ・ドラッグの影響で上下運動だけでは元本割れする可能性がありますが、右肩上がりの上昇率を少し大きく設定すると、最終的には元本を超えることもあります。
初期基準価格を 10,000円 とし、1%上昇 → 1%下落 を交互に10日間繰り返したケースを表にまとめます。
| 日数 | 変動率 | 基準価格(円) |
|---|---|---|
| 0 | - | 10,000.00 |
| 1 | +1% | 10,100.00 |
| 2 | -1% | 9,999.00 |
| 3 | +1% | 10,098.99 |
| 4 | -1% | 9,998.00 |
| 5 | +1% | 10,097.98 |
| 6 | -1% | 9,996.00 |
| 7 | +1% | 10,095.96 |
| 8 | -1% | 9,994.00 |
| 9 | +1% | 10,093.94 |
| 10 | -1% | 9,992.00 |
普通の投資信託であっても、上昇と下落を同じ割合で繰り返すと、 基準価格はじわじわ減っていくことがわかります。 これは市場の”癖”ではなく数学的な性質で、複利計算が原因です。
例えば、100円が 1% 上がると 101円になりますが、 そこから 1% 下がると 99.99円になり、元に戻りません。
この現象はボラティリティ・ドラッグ(Volatility Drag)と呼ばれ、 レバレッジをかけていなくても発生します。
レバレッジ型(ブル型・ベア型)の投資信託が「長期保有に向かない」と言われる理由として、 最も代表的なのが ボラティリティ・ドラッグ(Volatility Drag) です。
しかし、不利になる要因はそれだけではありません。 以下に、レバレッジ型特有の長期保有リスクをまとめます。
日々の基準価格が上下を繰り返すと、 上昇率と下落率が同じでも複利の関係で基準価格が減少していく現象です。 レバレッジ型は値動きが大きくなるため、この影響を強く受けます。
レバレッジ型投信は「日々の変動 × レバレッジ」で動くため、 長期で指数の◯倍になる構造ではありません。 指数が右肩上がりでも上下に振れると、基準価格が期待値より低くなりやすい性質があります。
下落時の損失がレバレッジ倍で拡大するため、 例えば指数が -10% のとき、3倍ブルは -30% となります。 その後に指数が +10% となっても、 レバレッジ型は元の水準に戻りにくい特徴があります。
ボラティリティ(価格の揺れ)が激しいほど、 レバレッジ型は上下運動に弱く、基準価格が削られやすいという構造的欠点があります。
レバレッジ型は通常の投信よりも信託報酬が高く、 さらにデリバティブを用いた運用のため、金利コストも影響します。 これらは長期保有で確実に効いてきます。
「レバレッジ型を長期で持つと不利」と言われるのは、 もちろん ボラティリティ・ドラッグが最大の要因ですが、 それ以外にも以下の構造的な理由があります。
つまり、長期投資では「指数が上がれば3倍になる」という単純な仕組みではなく、 上下の揺れによる複利損失と構造的ゆがみの方が支配的になるということです。
ここでは、レバレッジ2倍型投信を想定します。 指数が「+1% → -1% → +1% …」と振れ続けても、 レバレッジ型投信は日々の増減が掛け算で積み上がるため、 基準価格は必ずしも元に戻らず、少しずつ下がっていきます。 これが パス依存性(ゆがみ)=ボラティリティ・ドラッグの原因 です。
| 日 | 指数の変動 | レバ2倍の変動 | 基準価格 |
|---|---|---|---|
| 初日 | - | - | 10,000円 |
| 1日目 | +1% | +2% | 10,200円 |
| 2日目 | -1% | -2% | 9,996円 |
| 3日目 | +1% | +2% | 10,195.92円 |
| 4日目 | -1% | -2% | 9,992.00円 |
| 5日目 | +1% | +2% | 10,191.84円 |
| 6日目 | -1% | -2% | 9,988.00円 |
| 7日目 | +1% | +2% | 10,187.76円 |
| 8日目 | -1% | -2% | 9,984.01円 |
| 9日目 | +1% | +2% | 10,183.69円 |
| 10日目 | -1% | -2% | 9,980.01円 |
指数は「+1% → -1%」を繰り返しているため、 本来なら往復したら元に戻るはずですが、 レバレッジ投信は日々の変動を2倍にして掛け算で積み上げます。
その結果、 往復すると必ず元本を割れる(=ボラティリティ・ドラッグ) という現象が発生し、10日後には 9,980円まで微減します。
レバレッジ投信が「長期保有に向かない」と言われる理由の1つが、 このパス依存性(ゆがみ)なのです。
レバレッジ型投資信託は、元本割れのリスク(ボラティリティ・ドラッグ)がある一方で、 指数が本当に右肩上がりで上昇し続ける局面では、非常に強力です。
つまり、条件さえ整えば、レバレッジ型投資信託は“普通の投信より大きい利益”を狙える金融商品です。
答えはシンプルで、 「上昇トレンド」×「比較的低ボラティリティ」 という条件がないと、 日々の振れ幅による損失(ボラティリティ・ドラッグ)が効いてしまうからです。
しかしこれは裏を返せば、 右肩上がり + 値動きが比較的穏やか という局面では、レバレッジ型は最も効率のよい投資先になり得る、ということです。
株価が明確に右肩上がり → レバレッジは有利
乱高下が多い・方向感がない相場 → レバレッジは不利
この性質を理解して使えば、 レバレッジ型投信は「リスクは高いが、条件次第で大きく増やせる強力な道具」になります。
結局のところ、レバレッジが危険なのではなく、相場環境を見ずに持ち続けることが危険なのです。 相場が上昇トレンドであれば、レバレッジ型は強力な「買い」になり得ます。
一部の投資家の間では、「特定の指数が低ボラティリティに入るタイミングをAIが事前検知して、レバレッジ投資信託の利益率を最大化するアルゴリズムが存在する」という噂が流れています。
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