金地金に対する関税で上がる投資信託（ゴールド）

はじめに

ゴールド価格の低迷理由や米国の金地金関税明確化に関する最新ニュースを解説します。インフレヘッジとしてのゴールドの役割や失速リスク、さらにリスク資産として注目される投資信託のおすすめ銘柄も紹介。安全資産と成長資産のバランスを考えた賢い資産運用のヒントを提供します。

目次

ニュースまとめ

2025年8月8日、米ホワイトハウス当局者は、金地金に対する関税の内容を明確化するための大統領令を近く発出する方針を示しました。これにより、これまで関税を巡る混乱が続いていた問題が解消される見込みです。米税関・国境警備局の情報によれば、米国内で最も取引の多い1キログラムおよび100オンスの金地金が国別関税の対象となる可能性があります。大統領令は、金地金やその他特殊製品に関する誤った情報を正すことを目的としています。この発表を受けて、8日の米国金先物市場では上げ幅が縮小しました。

ゴールドの値動きが低迷している理由

ここ数日、ゴールドの値動きが低迷している理由は主に以下の要因によります。

1. 米ドルの強さ
   ゴールドは通常、米ドルと逆相関の関係にあります。最近、米ドルが強含んでいるため、ドル建てのゴールド価格が相対的に割高となり、買い控えが進んでいます。
2. 米国の金利上昇
   米国の長期金利が上昇すると、利回りのないゴールドの魅力が減少します。これにより投資家が金利資産へ資金を移動させ、ゴールド価格の上昇圧力が弱まっています。
3. リスクオンの投資環境
   世界的な景気回復や株価上昇が続くと、投資家は安全資産であるゴールドからリスク資産へシフトしやすくなります。そのため、ゴールドの需要が減少し価格が伸び悩んでいます。
4. インフレ期待の変化
   インフレ率やインフレ期待が安定または低下すると、インフレヘッジとしてのゴールドの役割が薄れ、買い圧力が弱まります。

以上の要因が複合的に影響し、ここ数日のゴールド価格は低迷していると考えられます。

ゴールドが低迷する局面で上昇しやすい投資信託

ゴールドが低迷する局面で上昇しやすい投資信託の種類とその理由、具体的な銘柄例は以下の通りです。

1. 株式型投資信託（特に景気敏感株）

理由：ゴールドが低迷する背景には通常、リスクオン（景気回復・株高）の市場環境があるため、企業業績が改善しやすい景気敏感株が買われやすくなります。

具体例：

• 楽天・全米株式インデックス・ファンド（米国株式の広範囲をカバー）
• eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
• ひふみプラス（アクティブ型で成長株に投資）

2. テクノロジー・イノベーション関連投資信託

理由：金利が落ち着き、株式市場全体が堅調なら、成長期待の高いテクノロジー分野やイノベーション関連株が資金を集めやすいです。

具体例：

• 楽天・米国ハイテク株式インデックス・ファンド
• グローバル・ロボティクス株式ファンド
• 未来創生ファンド（AI・宇宙関連）

3. 新興国株式型投資信託

理由：世界経済がリスクオンになると、新興国の経済成長期待が高まり、株価上昇が期待できます。また、金利安定下で新興国投資への資金流入も促進されます。

具体例：

• eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
• ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド（高配当重視の新興国株）

以上のように、ゴールド低迷の局面ではリスク資産への投資信託が相対的に強くなる傾向があります。市場の動向や金利環境に注意しながら選ぶことが重要です。

ゴールドの今後の見通しと失速の可能性について

これまでゴールドはインフレヘッジや安全資産として注目され、上昇が期待されていましたが、最近のニュースや市場動向から慎重な見方も出てきています。

• 関税明確化の影響：
  米国が金地金に対する関税を明確化する大統領令を発出予定であることは、短期的には市場の混乱を軽減し、取引環境の透明性を高める効果があります。しかし、一部では関税負担の影響で輸入コストが上昇し、需給に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
• 金利環境の変化：
  米国の金利上昇が続けば、利回りのないゴールドの魅力は相対的に低下し、価格の失速リスクが高まります。特に金融政策の引き締めが続く場合は注意が必要です。
• ドルの動向：
  米ドルの強さが続くと、ドル建てゴールドは割高感が出て買い控えられやすいため、これも価格下落の要因となり得ます。
• リスク資産の動向：
  世界経済の回復や株式市場の堅調が続けば、投資家は安全資産のゴールドからリスク資産へ資金を移動させやすく、ゴールド価格の伸び悩みが予想されます。

以上を踏まえると、今後もゴールドが上昇を続ける可能性はあるものの、金利動向や関税政策、ドルの強さによっては短期的な失速リスクも否定できません。
投資判断はこれらの要素を総合的に見極める必要があります。

ゴールドを買う機会とそのタイミング・状況について

1. 経済・政治リスクが高まったとき
   戦争や地政学リスク、金融危機、不安定な政情など、市場の不確実性が増す局面では、安全資産としてゴールドの需要が高まります。このような「リスクオフ」の状況が訪れたときが買いのチャンスです。
2. インフレ加速時
   物価上昇が加速し、通貨の価値が下がる恐れが強まると、インフレヘッジとしてゴールドの価値が見直されます。消費者物価指数（CPI）などのインフレ指標が予想以上に悪化したときに買うのが有効です。
3. 金利の低下・緩和政策が始まったとき
   中央銀行が利下げや金融緩和を行う局面では、金利の低下がゴールドの魅力を高めます。特に実質金利（名目金利からインフレ率を差し引いたもの）がマイナスになると、買いが入りやすいです。
4. ドル安が進行したとき
   ゴールドは米ドル建てで取引されるため、ドル安が進むと相対的にゴールド価格が上昇しやすくなります。ドル指数（DXY）の動向をチェックし、ドル安トレンドが明確になった局面が狙い目です。

以上の状況が重なると、ゴールドを買う絶好の機会となります。市場環境を総合的に判断し、分散投資の一環として適切なタイミングを見極めましょう。

投資は、自己判断でお願い致します。

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